【113回】効率よく医師国家試験に合格するための勉強法・メンタル論

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無事に113回医師国家試験に合格いたしましたので、これから国試を控える人たちに少しでも役立てばと、自分自身が国試勉強をしているときに考えていたこと、実践した勉強法やこれをやっておけばと後悔したことなどをまとめておこうと思います。
僕の成績や国試の感想はこちらの記事
https://spl-med.xyz/113med/
勉強の参考にさせていただいた偉大な先輩方の記事
https://www.igaitai111.com/entry/2018/02/12/130000
http://shimesaba-dr.hatenablog.jp/entry/2018/02/14/154211

ゴールを見据えた計画を立てよ

何事においても出口戦略、ゴールをきちんと設定したうえでそのゴールに到達するためには何が必要なのかを考えて計画を練っていくことが大切です。医師国家試験は合格さえしてしまえば点数の多寡は関係ありません。つまり合格基準をきちんと把握し、基準を満たす最低限度の点数を取ることができればOKです。ではまず国試の概要をおさらいします。
医師国家試験は2日間で6ブロック、必修問題と一般・臨床問題の計400問で構成されています。合格基準は

  • 必修問題で80%以上(絶対基準)
  • 一般・臨床問題で65〜70%程度(相対基準)
  • 禁忌肢 3問以下(絶対基準)

例年合格率は90%前後で推移しています。一般臨床が相対基準であること、合格率が9割であることから、必修で8割超え、禁忌を三問以下で全体の上位9割に入れるようにすれば合格です。高得点を目指す必要はありません。

詳しくは、https://informa.medilink-study.com/regularpost/11669/

敵を知り、己を知れば国試危うからず

敵(国試)をもう少し深掘りしていきます。
国試に落ちるパターンとしては以下の3つがあり得ます。

①必修で8割を切ってしまう

②禁忌を4問以上選んでしまう

③一般臨床で下位1割になってしまう

この中で多くの受験生のネックが①の必修8割ではないでしょうか。勉強が順調に進んでいる人にとって③で落ちることはほとんどないからです。しかし必修は1問3点のヘビーな問題もあり優秀な人でも取りこぼしてしまう可能性があります。

②は112回で禁忌落ちが出現したことから警戒していた人が多かったと感じています。禁忌については後ほど考察します。

③は国試合格者数が一定になるように相対的に調整しているラインです。問題演習である程度安全圏に持っていくことができます。

次に己(自分の立ち位置)を知ることが大切です。時期と自分の理解度、そして勉強スタイルの把握が大切であると考えます。

自分の立ち位置とゴールがわかったら、ゴールに到達するまでに何をする必要があるのか、それはどの時期にやるのかといった計画を立てます。計画は遅れていくものなので緩めに設定したうえで適宜修正していきましょう。僕もずるずると先延ばしになってました。。

冬の模試は自分の立ち位置を知るために受けるべきでしょう。ここでいい成績の人は守りの勉強を、偏差値50以下の人は究極MAPにお布施するのがおすすめです。
自分の立ち位置とゴール、その距離がわかっていれば国試も恐るるに足らずです。

これからはデジタル勉強の時代

紙ベースの勉強よりデジタルデバイスを活用した勉強の方が効率的です。パソコンやタブレットがなくてもスマホだけでも写真やPDF、Evernoteを活用することでスマートに勉強することができます。

僕はiPad +Apple Pencil +goodnotes5を利用して勉強していました。
勉強の場所を制限されない、検索機能が優秀、全てのデータがiPad(同期しているiPhone)に集約されているとメリットは数え切れません。
紙ベースのテキストで勉強している人も早めにテキストを裁断、スキャンしてしまうと加速度的に快適度が上がるのでおすすめです。

相対評価も含む国試では他人より効率よく勉強することが合格への近道。これからの国試勉強はデジタルで勉強する人が増えていくのは間違いありません。

自己流よりプロを信じろ

国家試験の難易度、国家試験対策予備校のクオリティは年々上がってきています。自己流で対策するよりも、多少お金を払ってプロの指導を受けた方が効率的で合格可能性も上がります。

どの予備校のどの講座を受けるかは信じる宗教の違いなのではっきり言ってどれでもいいです、お金と時間と自分のキャパ、そして周りの動きと相談してください。
詳しくはhttp://watabera.hatenablog.com/entry/2019/03/04/001445などを参考にどうぞ
個人的におすすめなのはmedu4かQ-Assistの前期講座をとってデジタルベースで勉強、後期講座はDr.孝志郎(以下KSR)のサマライズを受講、直前にDr.穂澄(以下HZM)の直前MAPです。

ここからは具体的な勉強法、勉強についての考え方です。

各分野、各疾患のイメージを説明できるように

「多発性硬化症ってどんな病気?」と尋ねられたときにざっくりと説明できますか?

僕はこれが非常に苦手で、年が明けても「多発性硬化症」がどんな病気なのかがパッとでてこない人でした。知識が細切れで結びついていないとこうなってしまいがちです。イメージがつかめていないとキーワード反射で答えてしまい致命的な間違いを犯してしまうことがあります。禁忌落ちの可能性を減らすためにもイメージを把握しておきましょう。
細かい知識をインプットするよりも大まかなイメージをアウトプットできるように練習していくとより効率的に勉強していくことができると思います。まずは病気がみえるのintro程度でもOKです。Minimum Essenceの半分くらい答えられるようになれば国試勉強はかなり余裕でしょう。

特異度の高い情報を重視せよ

国試勉強で接する知識量は膨大でその全てを暗記することは不可能です。だからこそ理解することで暗記量を減らしたり、ゴロ合わせを編み出したりするのですが、僕が国試勉強をしている時に感じたのは「特異度の高い情報の重要性」です。

特異度の高い情報というのはこの情報があれば選択肢を絞ることができる、正解を選ぶことができるといった情報です。KSRのいうところの赤いきつねでしょうか。

わかりやすい例ですと、アミロイドーシスのコンゴレッド染色です。106A38は長い長い問題文の最後にコンゴレッド染色陽性という一文があるだけで答えを選ぶことができます。こういった情報を優先的に覚えていくことが効率的な勉強に繋がります。

言うまでもないと思いますが、誰も知らないような知識は必要ありません!

解き方のパターンを増やせ

昨今の国試の問題は暗記一発で解ける問題が減って、考えさせる問題が増えています。この流れに対応するために、問題の解き方のパターンを増やす練習をしておくと良いと思います。特異度の高い情報を探す、年齢や性別などの疫学から絞る、病態生理で考える、選択肢の兼ね合い、常識的に考えて、研修医はどうすべきか、国試的には, etc.

自分が解けた問題でも、予備校講師の解説や友達との勉強会で全く別の解き方考え方がでてくることもあります。(そういう意味でもひとりで勉強するのはリスク因子かも)

この練習をしておくと簡単な問題をケアレスミスで落とすことが減り、手も足も出ないような難しい問題に食らいつくこともできます。

勉強は皿回し、何度も繰り返し復習すべし

国試の範囲は膨大なので、一分野を完璧にしても他の分野の勉強をしているうちにどんどん忘れていってしまいます。それを防ぐために各分野の情報の優先順位を見極め、コアの部分を何度も復習し同時並行で勉強を進めていくことが大切です。
これは分かっていてもなかなか実行が難しいタスクで、僕自身も放置していた分野を思い出すための復習に時間を取られ効率が悪い勉強になってしまった反省があり、みなさんに強く推しておきたいと思っています。

ポイントは復習のハードルを下げることだと思います。各分野の要点が見開き程度にまとまったものを5分で見直せるようにしておけば、分厚いテキストを見返すより気軽に復習できると思います。僕の場合、究極MAP講座が公開されてから復習のサイクルを高速で回すことができるようになり理解度が上がった実感がありました。MAPが公開されるのは国試の1ヶ月前と遅いので、早めに自分用のまとめを作るといいのではないでしょうか。

余計なものに手をだすな

周りに流されて新しい予備校の講座や問題集、模試に手をだしたくなる気持ちはわかりますが、余計なものに手をだしてもタスクが増えるだけでいいことはありません。

QBは1周目問題だけで十分です。全問題を演習するのはオーバーワークなのでやめましょう。
ビデオ講座も臓器別で知識の整理、後期講座で問題の解き方、直前に公衆衛生の暗記、必修対策で手一杯のはずです。

迷ってしまう人へのおすすめは前期講座(どれでも)、後期講座(サマライズ)、QB1周目問題、過去問3年分研究、公衆衛生講座だけです。

何をしたかではなく、何ができるようになったか

友達同士で〇〇講座を見た、〇〇模試を受けたといった情報交換も必要ですが、大切なのは何をしたかではなく、何ができるようになったかです。
動画でわかったつもりになっても自分で解けないと意味ないですし、復習しない模試なんて時間とお金の無駄です。自分が受けてない模試の解説だけを読むのも意味ないので、受けた友達から重要そうな知識だけ聞いて「ふ~ん」と頭の片隅に置いておくくらいで十分です。そもそもそんな知識は合否を分けません。

QBも同じで1周目問題だけでも相当な分量があり、その全てを自分が吸収できるようになったと思えない限り1周目問題以外は必要ありません。
新しいことをやって満足するのではなく、確実にできることを増やしていくことが大切です。

思い出せなきゃ意味がない

知識はインプットするだけでなく、思いだせる(アウトプットできる)ようにしないと意味がありません
思いだせない中途半端な知識は本番で迷ってしまう原因です。眺めていると頭に入っている気がする知識も、隠してしまうと意外と思いだせません。そしてそれが本番の状態です。
赤シートで隠したり、友達とクイズを出しあったり頭の中の知識を思い出す練習をしておきましょう。

最後は自分を信じて

国試本番は誰でも緊張します。僕もとても緊張しました。
本番で怖いのはやはり必修と禁忌です。必修は研修医になったつもりで目の前に患者さんがいるなら自分はどうするかどうすべきかを考えて解くといいと思います。

禁忌についてですが、禁忌を踏んでしまう原因は勉強不足・注意不足・メンタルの迷いに大別できます。過去問にでている禁忌を知らずに踏む勉強不足によるもの、113E48のように問題文の地雷を読み逃す注意不足によるもの、普段なら選ばない選択肢を選んでしまう国試せん妄です。
月並みなアドバイスになりますが、普段から禁忌肢に注意して本番のようなプレッシャーで過去問を演習することで禁忌肢落ちのリスクはある程度減らせます。

どうしても禁忌が怖い人はあえて選択肢を選ばないノーマーク戦法もあります。
詳しくはhttps://tictac-med.hatenablog.com/entry/2019/03/19/110341

ビデオ講座と予備校と問題集と参考書について(おまけ)

ここからは僕の偏見が多分に含まれた内容になります。ご容赦ください。
僕の勉強履歴

  • MEC病態生理(5年次秋)
  • MEC小児科講座(5年次冬)
  • MEC臓器別講座(5年次冬〜6年次夏)
  • MEC産婦人科(6年次9月)
  • MECマイナー※(6年次10月)
  • medu4あたらしい公衆衛生(6年次11月)
  • MECサマライズメジャー(6年次11〜12月)
  • MECサマライズマイナー(6年次12月)
  • Q-Asssist苦手疾患(6年次12月)
  • medu4国試究極MAP(6年次1月中旬〜当日)
  • MEC必修予想講座(6年次2月)
  • MEC直前予想講座(6年次2月)
  • MECラストメッセージ(6年次2月)
  • 過去問3年分+α(マッチング前の6年次8月)
  • QB1周目問題(6年次8~1月)
  • 過去問3年分の2周目(6年次1月)
  • 間違った問題の演習(6年次2月)

ビデオ講座(予備校)

現状、医師国家試験対策のビデオ講座は
MEC、TECOM、medu4、Q-Assistの4社です。

MEC

体育会系の人が好みそうなイメージ。国試の神ことKSRについていけば皆合格。
個人的にKSRの講座は面白くて記憶に残りやすいだけでなく、臨床現場で良い医師になれそうな気がして好きでした。

デメリットはKSRの担当講座が少ない、テキストがデカい分厚い、画質悪い、HPがイケてない、不要な講座が多い、KSRが直前講座で内容を小出しにしてくる(全部受講すると金額が…)

TECOM

僕は模試しか受けたことありませんが、はっきり言ってあまりいい印象がないです。テコム受けてた人の大半は他のビデオ講座に乗り換えてました。
病態生理で説明してくれるので考えたらわかる!とてこまーが言ってました。

medu4

一神教HZM。合理性の塊、値段が安い、デジタルに対応、穴埋めに対応と新時代の勉強をするならmedu4に決まり。僕もMEC取ってなかったmedu4にしてたと思います。公衆衛生と究極MAPだけ受けましたが、めちゃめちゃ良かったです。

ただし、HZMが合わない人が一定数いることと、HZMの説明がスマートすぎるので丁寧な教え方を望んでいる人には向きません。
向いているのはゼロから学ぶ人、知っていることを整理したい人ではないでしょうか。

Q-Assist

あんまり見てないけど良さそう。Twitterでの評判がすごくいい。
Dr.清澤もDr.盛永もわかりやすいしテンポもいい。それでいて丁寧なので自分で勉強してもつまづいてしまう、といった人におすすめな気がします。

MECとTECOMは古参の予備校で、大学に売り込みにきて学年一括でセット購入させてきます。このセットは不要なビデオ講座が多いのではっきりいって要りません。medu4とQAがかなり値下げしてる上にクオリティも高いので、MECやTECOMの地位はかなり危ういのではないでしょうか。

問題集

クエスチョン・バンク(QB)

全5セットで臓器別に過去問が載っている問題集。オンラインで演習することも可能。僕は頑なにオンラインでしか演習していなかったんですが、これは本の方が勉強しやすかったのではないかと反省しています。オンラインだとまとめてくれてた表どこの問題だっけ?と探すのが面倒で、紙だとパラパラめくるだけで見つけられますもんね。

ビデオ講座を取らずにQBだけで合格することも可能です。しかし、QB演習だけだと知識の優先順位がわからずに、マニアックな知識は知っているのに基礎知識抜けてるといったことになりやすくなります。友達と情報交換を頻繁に!

ビデオ講座取っている人は1周目問題だけをやりましょう。1週目問題だけです。1週目問題だけ!

回数別

過去問の最新版はQBに含まれていません。また、国試は直近の過去問の焼き直しが多いので、最低でも過去問3年分は研究することが大切です。
研究はめちゃくちゃしんどいし時間かかります。余裕を持って計画を立ててくださいね。

参考書

イヤーノート

国試対策の参考書と言えばイヤーノート。内科の知識が一冊にまとまってデジタルで購入することができます。辞書みたいに使うのがおすすめ。僕は結局買いませんでしたが、手元にあればと思った回数は数知れず。

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病気がみえる

イラストでイメージがつかみやすい神参考書。デジタルも使い勝手よし。小難しい参考書で挫折するくらいなら病みえで勉強した方がいいと思います。

レビューブック マイナー

上記でカバーできないマイナー領域はこれで十分。

レビューブック 必修・禁忌

必修と禁忌が怖い人はこれか予備校の対策ビデオ講座で対策してました。

おわり

これから国試を受ける人は頑張ってください!
medu4取らない人にも参考になるかもしれない勉強スケジュール
https://medu4.com/guide/114tactics

僕の成績や国試の感想はこちらの記事
https://spl-med.xyz/113med/
勉強の参考にさせていただいた偉大な先輩方の記事(おすすめ!)
https://www.igaitai111.com/entry/2018/02/12/130000
http://shimesaba-dr.hatenablog.jp/entry/2018/02/14/154211