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情報を正しく捉える~インチキ医療情報にダマされないために~

 

 はじめに

ネットが発達し、だれでも気軽に情報を調べることができるようになった。

さらに、ブログやサイトの立ち上げのハードルも低くなり、専門家でなくても情報を発信することも容易になった。

ただ、同時に溢れる情報の質は下がった

ぼくは現役の医学生だ。学生とはいえ世間一般の人よりは、医学的な知識に長けている自負はある。

だからこそ、世の中に溢れてるインチキ医療情報が気になる。気になって仕方がない。

医療の世界では、EBM(evidence-based medicine)が主流だ。

エビデンス(根拠)に基づく医療という意味になる。

ここでは詳しい説明は省略するが、ある治療をする際に、問題を定型化し、情報の収集・吟味を行い、患者に適応できるのかを判断するといったことだ。

EBMの真髄は、患者に適応できるのかを判断するところにあると言われているが、前提として、情報のエビデンスが確かなものでなければいけない。

医療従事者、特に医師はこれを徹底するように言われている。

学生のころから、エビデンスの確かな研究・論文を読んで情報を集めろと。

ただし、一般の人はそもそもそのような研究や論文にアクセスすることができる環境にない。そしてそれを判断するトレーニングも受けていない。

そうしていざ自分が病院で治療を受けるときに判断する材料になるのは、

  • 医師の話した内容
  • 自身の体験や知人の体験
  • テレビなどで得た知識
  • ネットで得た知識

などになる。

特に最近はネットで情報を集めてくる患者さんが多い。外来見学などをしていると感じる。そうした情報はおおむね正しいのだが、うのみにしている人が多く危うさを感じる。

たしかに僕も、ちょっとした情報を調べるときなどにはネットで調べる。いちいち教科書や専門書を開くよりもスマホで片手で検索した方がはやい。

ただ、そこでの情報は常に疑って見ている。

今回はなぜ情報を疑わなければならないのか。

どういったポイントに注意しなければならないのかを解説していこうと思う。

因果関係と相関関係

いきなり難しそうなワードで申し訳ないが、デマを見抜く=因果関係を見極めるなので避けられない話題だ。まずはこの言葉の違いがわかるだろうか?

因果関係とは、ふたつのできごとが原因と結果の関係にあるもの。

相関関係とは、ふたつのできごとが関係がありそうに見えるが原因と結果の関係にないものだ。

たとえば、雨が降ると傘の売り上げがあがるという関係。

これは、雨が降るという原因によって、傘がよく売れるという結果が生じている。

傘が売れたから雨が降るわけではない。これは因果関係の一例だ。

では、アイスクリームがよく売れる年は海でおぼれる人が増えるという関係。

これは、はたして因果関係と呼べるだろうか?

アイスが売れたから海で人がおぼれるというできごとが生じるとは考えにくい。

これは、アイスが売れやすい”暑い夏”には、海で遊ぶ人、ひいては溺死者が増えるという相関関係だ。

因果関係を見抜くポイント

こうした相関関係を見抜くポイントは3つある。

まったくの偶然ではないか

ふたつのできごとがまったくの偶然である場合を間違って因果関係と思ってしまうことがある。

例:地球温暖化が進むと、海賊の数が減る

第3の変数が存在していないか

原因と結果の両方に影響を与える「交絡因子」が存在する場合。

例えば、青汁を飲む人は飲まない人より健康というデータがあったとして、果たしてその健康は青汁のおかげなのだろうか。青汁を飲むような”健康に気を使っている”人は、運動や生活習慣にも意識が高く、そのおかげで長生きしているのかもしれない。

因果関係が逆転してないか

原因と結果が逆転しているパターン。

例:消防士が多く出動すると、火事の規模がより大きくなる。

これは、火事の規模が大きいからより多くの消防士が必要になっているだけだろう。

因果関係と相関関係についてもっと知りたい人は

こちらの記事で無料公開されている「原因と結果の経済学」をおすすめする。

僕はAmazonで買って友達にも貸してあげた。

『「原因と結果」の経済学』の無料公開! – 医療政策学×医療経済学

医療情報を見抜くポイント

他にも医療情報を考えるうえで大切なポイントはいくつかある。

データの数(個人の体験談ではないか)

科学的根拠は、十分な数のデータがないと証明できない。誤差が生じてしまうからだ。
私の友達にビルの5階から落ちて運よく無事だった人がいるが、だからといって私は5階から飛び降りようとは思わない。
たまたまうまくいった場合や、失敗した場合などの”誤差”を排除するためには、統計的に十分な数のデータが必要だ。

比較されているか

〇〇が健康に良い!ということを証明するには、〇〇を使わなかった人と比べる必要がある。もしくは使う前後での時間的な比較が。
これがないと、本当に〇〇に効果があるのかだれにも分からない。

比較条件はそろっているか

比較されていても、条件が整えられていないと意味がない。
例えば、70歳の患者はAを、20台の患者にはBを投与するとBの方が生存率が高かった。というデータをあなたは信頼できるだろうか。
〇〇が健康に良い!を証明するには、〇〇を使うか使わないか以外の条件は同じにしなければならないのだ。

対策

こういった「統計学的な知識」は身につけておくと非常に便利だが、
現実問題としては難しい。このような視点があることを知って、疑いの目を持つことができれば十分だと思う。
個人レベルでは
  • 公的な機関のサイトを見る
  • 情報の発信者が信頼できる存在かを調べる
  • 情報をうのみにしない
  • わからないことがあれば、かかりつけ医に聞く
がいちばんの対策と言えるだろう。

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